Ｊ１第6節 川崎フロンターレvsセレッソ大阪【スタジアム観戦】2022.4.2
頭で考え過ぎてしまったかもしれません。
川崎は試合通して良いところがほぼ無かったと言っていいほど、１ー４という完敗の試合内容でした。Ｃ大阪は本当にとても良い試合内容だったと思います。川崎対策なのかは定かではありませんが、川崎の弱点を突いてきていたと思います。川崎戦の前に川崎と似たようなポゼッションを基調とする大分に対し、ルヴァンカップで大勝出来ていたので、やろうとするサッカーに対して自信を持って臨めたのも良かったのかもしれません。Ｃ大阪のサッカーで特徴的だったのが、川崎ボールの際にセンターラインを越えて、くさびとなる縦パスが入ると、必ず誰かがパスの入りどころに対して激しくチェックを掛けていました。これを特徴的と言ったのは、試合全体を通して、ポゼッションされている時にも、カウンターの際にもこれを実践できていたところにあります。通常、カウンターを受けた際は、守備ブロックを作ることを優先させるチームが多く、ボールホルダーに対しては攻撃を遅らせる守備の仕方をしがちです。ですが、Ｃ大阪はフォーメーション関係なく、縦パスの受け手に対してその場所に一番近い選手が激しくチェックを掛け、攻撃を遅らせるというよりはボールを奪い取るくらいの勢いで守備をしていました。この激しい守備を受けた川崎の選手はボールを戻さざるを得ず、上手く攻撃を出来ない状況を作られていました。また、ＦＷの加藤選手・山田選手も常に前線からのプレスを繰り返し、前と後ろから素早いプレスを掛けることで、川崎のボールを奪い取ってゴールに繋げています。この守備は試合を通じて本当に効いていました。川崎の選手がプレスを嫌がって判断ミスをする為、珍しくパスがズレるシーンが散見されたので、よっぽど川崎の選手の中には意識としてもＣ大阪の守備は効いていたのだと思います。
しかし、そんな守備をも剥がしてボールポゼッションをし、得点を重ねていっていたのが、昨年までの川崎だったかもしれません。とは言え、抜けた選手の話をする訳ではなく、技術的な話でもなく、この試合では自信の部分が欠けてしまっていたように見えました。試合開始後しばらくは上手に試合運びが出来ていたにも関わらず、最近ではあまり見られなかった精神的な支柱である谷口選手のミスから失点したことも影響していると思います。その後に立て続けに失点したこともそうでしょう。３点目も谷口選手が入れ替わられて失点していることもそうでしょう。Ｃ大阪の３点目の後に、珍しく谷口選手が何も言えずに俯いている姿が印象的でした。このように積み重ねによって、自信を喪失してしまっていたように思いますし、それが悪循環を生んでしまっていたと思います。
その精神的なダメージを与えるほどの攻撃もこの試合のＣ大阪のもう１つの大きな特徴だったと思います。ボールを奪ってから縦へのスピードがとても速く、とにかく空いているスペースへ選手が走り込んではパスを出したり、ドリブルで突き進んだりと、川崎は下がりながらのディフェンスを強いられているシーンが多かったと思います。これはスペースを見つけて尚且つ走る選手の判断力・体力が素晴らしかったと思います。とても素晴らしいカウンター攻撃でしたし、乾選手が決めた２点目はカウンターというよりはしっかりと選手同士が共有イメージを持って川崎を崩せていました。この相手守備の先を取るような攻撃がとても上手だったなと感心しています。乾選手の得意な分野だと思いますので、乾選手がまわりの選手に与えた影響も大きいのかもしれません。
こうやってＣ大阪のサッカーを考えていると、今季同じく完敗を喫した横浜ＦＭ戦が思い出されます。やはり同じように良いプレス・縦に早い攻撃によって失点を重ねているので、川崎としては真摯に現状を見つめて、それを上回る為には何が必要なのかを考えていかなければならないかもしれません。特にＡＣＬで対戦する海外のチームには、速攻が上手なチームが多数いると思いますので、川崎のチームには早く自信を取り戻して、川崎らしいサッカーを復活させて欲しいと思います。
ボコボコにされた川崎ではありましたが、良い点もありました。マルシーニョ選手の活躍です。この試合では90分フルで出場も出来ましたし、試合を通じて動きも良く、得点シーンも冷静にゴールを決めることが出来ました。守備に攻撃にとガムシャラに気持ちの入ったプレーを見せてくれたので、川崎サポーターの心境としてもそのプレーに心が救われる思いでした。一人気を吐いてくれたと言っていい程の試合でしたので、今後の試合に向けて個人としても期待していますし、チームに元気と自信を与えてくれる存在としても期待しています。
上手くいかない時にどうすれば良いか、どうやって試合をマネジメントするか、これを考えるのはとても良いことなのですが、考え過ぎて思い切りが悪くなって勢いが無くなってしまったり、考えがズレて選手同士の意思が合わなかったり、そんなことを繰り返してしまった試合だったかもしれないと、この試合については思いました。そんな時に原点に立ち返ることの出来るプレーやプレー原則を、チームとして見つめ直して次節に向かって欲しいと思います。まだまだこれから連戦も続きますし、チーム一丸となって全員で川崎らしい「見てて楽しいサッカー」をまた体現して欲しいです。
セレッソ大阪の皆さん、大勝おめでとうございます！桜満開のもと、ゴールも量産、とても良いサッカーでした！恐れ入りました！