J1第2節 鹿島アントラーズvs川崎フロンターレ【DAZN観戦】2022.2.26 

 先制点が主導権を握った試合。

 この試合では開始2分で、川崎の知念選手が先制点を上げています。ゴール前の高い位置でのプレッシングでボールを奪取し、すぐ様左足でシュートを放ってのゴールでした。このゴールの価値は物凄く高かったと思います。前節で大敗を喫した川崎からすれば、どことなく漂う不安なムードを打ち払う一発となりましたし、鹿島からすると、開幕戦アウェイで完勝した勢いをそのまま持ってホーム開幕戦に臨もうとした矢先に躓き、一瞬立ち止まらされた感がありました。開始すぐの点ですので、どちらのチームもまだまだこれからが勝負と思ったとは思いますが、この点が両チームに与えた精神的な影響は大きかったと思います。

 川崎は立ち上がりから今までの試合よりも明らかに強度を上げて臨んでいました。切替の速さ、球際の強さが際立って良かったと思います。昨季の良い時の強度に戻ったと感じました。1点目の得点シーンもそうですし、試合を通じて、非常に良いプレッシングが出来ていたと思います。

 この日の試合では佐々木選手が左SBとして初スタメンを飾りました。前節のマリノス戦では途中出場し、緊張しているのかどことなくプレーが硬いなという印象でしたが、この日のプレーではボールを持った時も堂々とプレーできていましたし、足元も上手な選手だなと思いました。ボールを保持している時や守備時のポジショニングで指示を受けているシーンを見ると初々しく、これからの成長が楽しみな選手です。

 そんなルーキーが早速、前半17分に川崎の2点目となるコーナーキックからの得点を決めています。初スタメンで初ゴールですから、ご本人にとってもチームにとっても、とっても嬉しいゴールでした。ゴールはキッカーの脇坂選手からニア寄りに上げられたクロスボールを、山村選手がヘディングを競り合って、ファーサイドにボールが流れたところをダイレクトで押し込んだ形です。冷静にダイレクトでボールを押し込めたのが素晴らしかったと思います。佐々木選手が試合後に練習でやっていた形と言っていましたので、ご本人からすれば落ち着いて練習通りにできたというところでしょうか。この試合では、後半30分に体力的な理由で交代しましたが、次のスタメンでは90分通して活躍してもらいたいと期待します。

 前半は川崎ペースでした。チャナティップ選手は試合を重ねるごとに攻守両面でフィットしてきていると感じられ、ボール捌きがとても上手で攻撃の良いアクセントとなっていました。知念選手は得点にも繋がりましたが、守備の際のプレッシングが物凄く向上したと思いました。いつぞや鬼木監督に試合中に怒鳴られていたことがありましたが、その面影はまるでありません。悪く言うと少し前までは、プレス位置に着きに行っているという感じでしたが、この試合ではダミアン選手のようにしっかりとプレスを掛けに行っていました。

 鹿島はというと、川崎のプレスをまともに受けて、ボールを上手く回せない状況が長く続いてしまいました。サイドのスペースに鈴木選手や上田選手が飛び出しますが、来るボールが悪いか、しっかりと川崎CBが付いてきてしまって、思うようにプレーできていませんでした。どこかチグハグしたパスの交換が多く、開幕戦のような鹿島らしい連動した動きによって相手を崩す形が作れてていませんでした。そのまま0ー2のスコアで前半を終えています。

 後半に入り、鹿島は三竿選手と中村選手を関川選手と土居選手の代わりに投入しています。この選手交代と、恐らくハーフタイムにあったであろう指示によって後半は鹿島ペースとなりました。三竿選手が入ったことで精神的な支柱となり、チーム全体が引き締まったと思います。前半はバックラインから丁寧にパスを繋いでビルドアップしようとしたところを、川崎の強度の高いプレスに合い、逆にピンチを招いてしまっていました。後半は試合の組み立て方を変えて、ディフェンスラインを少し高くして、ボランチが主体となってパスを散らしてシンプルに空いているスペースを使い、臨機応変に選手がポジショニングをしながらもSBが高い位置を取っていく、鹿島らしい4-4-2の戦い方となっていました。ボランチのピトゥカ選手と樋口選手がとても良い動きをして、正に舵取りという役割を担っていたように思います。選手を段階的に代えて、攻撃の圧力も高くなっていたので、あとは得点という結果が出ればというところだったと思います。あと一歩というところでゴールを割れず、川崎の守りを崩すことができませんでした。結局前半のスコアのまま0ー2で試合は終了しています。鹿島の試合を見続けている訳ではないので、簡単な思い付きかもしれないですが、4-4-2の2トップを荒木選手とエヴェラウド選手or上田選手、両翼のSHを鈴木選手と土居選手にしたらかなり手強いのではないかと思いました。

 川崎の後半は、遠野選手が今季インサイドハーフで起用されて活躍している通り、この試合も良い動きをしていましたが、選手交代自体ではあまり変化を与えることができませんでした。ダミアン選手・登里選手も投入されてからしばらくは試合に入り切れていない様子で、途中から試合に入る難しさがあることを改めて感じました。

 また、この試合だけに限らず今までを通して見ますと小林選手の調子がイマイチ良くないと感じています。今季はサイドで使われることが多くなっていますが、トップにダミアン選手がいるならそれも仕方ないと思うのですが、この試合ではトップを知念選手に譲る形となっています。川崎にテクニカルな選手が増えてきて、ベテランという立場もあり、巧くやろうとし過ぎていると思います。小林選手には、1トップで張ってキャプテンとしてゴールでチームを引っ張った時や、大久保選手がいてトップではなくサイドに回っていた時のプレーを思い出して欲しいです。巧くやろうとは考えず、常にゴールを狙っていた姿勢を取り戻して欲しいと思います。今後の小林選手の思い切りのよいプレーを期待しています。

 川崎の皆さん、しっかりとした勝利、おめでとうございます。大敗の後で一安心できる試合となりました。ありがとうございます。