J1第9節 横浜F・マリノスvs川崎フロンターレ【DAZN観戦】2022.2.23
乗り出すと止められない!J最強の攻撃力!
正にマリノスというサッカーを展開しての勝利だったと思います。
試合開始からマリノスペースではありました。しかし、攻撃の組立までは良いものの、ラストパスや局面を陥れる大事なパスをミスしていたことで、川崎ゴールを脅かすには至らなかったのが前半の20分過ぎくらいまでの印象です。そこ通されたらヤバかった、精度を欠いてくれて助かったというシーンが幾度かありました。
そうこうしている内に、前からのプレスがハマらない川崎は、プレスの仕方を修正し、トップのダミアン選手がボランチの位置を見るようになりました。この試合のDAZN解説だった戸田さんも説明してくれています。
これにより前半の25分過ぎくらいからは川崎ペースになります。マリノスはボランチを経由する試合の組立が出来にくくなり、GKを含めた最終ラインに宮城選手・家長選手のプレスが掛かることで思うようにパスが回せず、タッチラインを割るようなクリアに近いキックを繰り返すことが増えました。川崎としてはボールを回収して、自分たちの時間を増やすことが出来たので、徐々にいつも通りの攻撃を取り戻します。
また、川崎はスタメンに橘田選手が戻ってきてくれたのがとても大きかったです。やはり存在感が抜群で攻守においてとても活躍していました。スタメン発表を見て、よくぞ戻ってきてくれたと期待した通りの活躍をしてくれる、今や川崎に欠かせない選手になったと言えます。ポゼッションしている時は相手の隙間、隙間に顔を出してボールを受け、決して焦ってパスを出さずに味方の動きを促してからパスを出せていました。守る上でもマリノスの強力なカウンターをシンプルに受けないように、パスの出し手と受け手の延長線上に立ってパスコースを消しながらも、出し手へもプレスを掛けることのできる絶妙なポジショニングをすることで、良い守備が出来ていました。1人で相手3人の動きを抑制する、そんな場面もあった程でした。
そんな橘田選手がマリノスのペナルティエリア左角のスペースを見つけて飛び出し、引き出したボールをセンタリングしたことで、川崎の先制点が生まれました。スペースの見つけ方と飛び出し方は大島選手を彷彿とさせるオフザボールの動きだったと思います。橘田選手のクロスボールを叩き付けて、GKの頭越しにゴールを決めた家長選手のシュートもお見事でした。このゴールの後も積極的にマリノスを攻めた川崎としては、追加点を前半の内に決めたかったところです。
後半開始した直後も川崎のペースであったため、マリノスは渡辺選手に代えて畠中選手を投入し、岩田選手を渡辺選手の位置にCBからポジションを一つ前に上げました。この交代がバッチリとハマります。岩田選手は守備の際の出足と読みが鋭く、球際も強く行けるので、喜田選手と組むことで守備におけるバランスをチームにもたらしました。川崎のペースを止めることに成功し、試合の流れが変わるか変わらないかというタイミングで、同点ゴールを決めることに成功しています。同点ゴールは、川崎のチャナティップ選手が痛んで、ピッチ外に出た際に生まれました。川崎の気が少し緩むポケットのようなタイミングで、その油断を見逃さずにマルコス・ジュニオール選手から蹴られたロングボールは、エウベル選手にピタリと合って、ヘディングシュートによるゴールが決まりました。
マルコス・ジュニオール選手はテクニックがあるのはもちろん、賢いというと安っぽい表現になりますが、サッカーIQが非常に高いなと感じる選手です。この選手がいる・いないでマリノスのサッカーの質も大きく変わると思っています。基本はトップ下ですが、フリーなポジション取りでマリノスの攻撃を組み立て、スペースの見つけ方、展開力、得点力と素晴らしい選手です。川崎もマリノスも4-3-3のフォーメーションですが、中盤3枚の布陣が逆三角形▽と三角形△で違っています。どちらのチームも、中央に位置する頂点の選手の質が試合に与える影響力が大きく、川崎で言えばアンカー、マリノスで言えばトップ下、このポジションがチームの要となっています。この要の部分にマルコス・ジュニオール選手が入り、走行距離も多かったこの試合は、マリノスの攻撃力が遺憾無く発揮された試合となりました。
縦続けに仲川選手・エウベル選手とゴールを決めてスコアを一気に3ー1にひっくり返しています。この2人の選手の縦へのスピードは物凄く速く、スペースがあれば、走り出しもそうですが、ドリブルも然り、推進力というよりは突進力と表現した方が良いというくらいに速くプレーします。また、その速さを活かして、抜き切る前にクロスを入れることが多く、下がりながら守らせられるので、ディフェンスはとても守りづらい状況になります。矛で突くかのように試合中に何度も仕掛けるので、守る方としては何度も付いていかなければならず非常に疲れが溜まります。
この疲れから、突破されるのが嫌だ、という風に山根選手に思わせたところから4点目の仲川選手のゴールが生まれたと思います。仲川選手に再三仕掛けられ、縦を警戒し過ぎた山根選手が寄せきれなかったため、仲川選手はカットインしながらシュートコースを作り出してシュートしています。もちろんゴールはGKの誰しもが取れないような軌道とスピードで決まったスーパーゴールではあったのですが、シュートを打たせてしまった後悔が山根選手にはあると思います。後半33分という時間まで攻守において走り回っていた山根選手において、疲れからケアし難い方にディフェンスの重きを置いたことは痛い程わかります。サボったわけではないですが、ラクをするというか。それによりシュートコースが空きやすくなり、また、シュートへも寄せきれずという状況が生まれてしまいました。この状況を作り出した仲川選手の走力には感服するばかりです。この4点目によって、川崎の追い上げムードの勢いが曇りました。
川崎の追い上げムードを演出した知念選手の得点は素晴らしかったです。昨年はあのような形で、サイドからのクロスがダミアン選手を越えて、逆サイドの選手がダミアン選手の背後のスペースに入ってヘディングで決めるというゴールはほぼ無かったと記憶しています。知念選手本人も狙っていたとのことでしたが、狙い通りの良いゴールでした。私個人的には知念選手はサイドの方が活きると思っています。ドリブルの仕掛けも上手ですし、この得点のような形を作ることもできたので尚更です。途中からの出場でしたが、今後の知念選手の活躍に期待します。
知念選手と入れ代わりで退くこととなった宮城選手は今一つ印象に残るプレーが残せませんでした。裏への抜け出しが少なく、ボールを持った時の前への仕掛けも単調で、相手に寄せられてボールロストするシーンが目立ちました。スタメンを勝ち取っているので、監督からの期待は間違いなく、もっと出来る選手だと私も思いますので、宮城選手もこれから頑張って欲しいと思います。
この試合でマリノスが決めた4ゴールの内の3ゴールは、川崎のSBがマリノスのWGと1対1の勝負に持ち込まれ、負けていることから決まっています。川崎からするとCBを外した場所で勝負を仕掛けられたことになります。基本的には守る側が不利な状況が多く、この1対1に毎回勝つのは難しいと思いますので、今後の試合でSBが狙われた時に組織的にどう守っていくのかが今後の川崎の課題になった試合だったと思いました。
最後に、横浜F・マリノスの皆さん、大勝おめでとうございます。ほんと感心する程、強かったです。